日別アーカイブ: 2016年11月22日

生き甲斐

東京の方が診療の合間で、

「 先生、学生時代は相当おモテになられたって聞きましたのよ」

ドキン!

ヤバい!

誰から聞いた?

何処まで聞いた?

一瞬の出来事ですが、

私の頭の中は走馬灯の如く。

で、私の返答ですか?

イヤイヤ其れほどでもございません。

まぁ、芸のタシにはなってないって事は確かです。

お恥ずかしい限りの馬鹿息子でした。

が、

いつも何処でもスマホとニラメッコで、

口にするモノすべてがコンビニ仕入れという

今時の若い人は不幸だと感じます。

私の若い時分には、

それこそ多くの人たちとの関わりあいが在りましたもの。

色んな方のお顔が脳裏を過ります。

ホンにありがたいことです。

私の診療所は、

本当に遠い処から大勢の方がお越しになって下さいます。

私がナニかの会に所属して、

其処で顔見知りになっての縁で来て下さるのではありません。

横着者の私です。

家と診療所の往復以外は、

殆んど外出することもなく、

患者さん以外と外で誰かと会うのが苦手です。

にも係わらず、

次から次へと、

新しい出会いが歯を通じて始まるのです。

もう初老の私です。

モテることはありません。

が、

歯で本当に困った患者さんが訪ねて下さるのが

何よりも私の生き甲斐となったようです。

 

仕事の味

昨日のブログでも触れましたように、

大正、昭和天皇の料理番として名高い秋山徳蔵氏の著書【味】を

心温まる想いで、

頁を捲っています。

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氏が言う処の【今時の若い人】には

時代的に私も含まれている筈です。

面白いですね。

今では、

その私が、

【今時の若い奴らは】と言ってるのですから。

若い歯科医から時々に聞かれます台詞です。

「 何故にそんなに歯科に没頭できるんですか?」

「 先生のやりかたで、食べていけるんですか?」

「 どうやって患者さんを集めるんですか?」

「 勉強ばかりで辛くないんですか?」

「 他に楽しみはないんですか?」

「 先々の不安はないんですか?」

どうですか?

コレらは全て、歯科医が私に聞く内容なんですよ!

私には訳が判りません。

私は歯医者になりたくて、なりたくて歯医者になりました。

入れば、

歯医者の世界にも【名人】と唱われる先生が居られます。

あんなになりたい!

上手になりたい!

と、ただただ其れだけで走ってきました。

習いたいと思ったら、

それが、

教えて貰うことだと勘違いしてはなりません。

習うということは、

先生から、先生の持っているものを引っ張り出すこと。

言葉は悪いですが、技術を盗むこと。

先生の方は先生の方で、

盗ませてやる環境を造ってるものです。

私は習いたい、

覚えたい、

上手になりたいという気持ちばかりが

先走っていました。

金銭や出世が目標でなかったので、

楽しんでいました。

嫌な先輩も確かに居られました。

が、

人間が相手でなく、

技術だけが相手でしたので、

技術に対して、

頭を下げていました。

今時の若い歯科医は、

仕事で収入を得るという意識の方が遥かに高すぎるように感じます。

若いんだから、大したことない自分を正面から認識すべきです。

私だって同じです。

技術にテッペンはありませんから。

まだまだ先へ先へと進んで行きますよ!

私は決してお金持ちではありません。

が、

自分の仕事に対する【真剣さ】では、

子供たちにも恥じることは全くありません。

仕事って、そういうモノじゃないですか?

私が馬鹿なんでしょうね?

深く考えていませんので。

子供の前に置いたオモチャ、

私の前に置いた【歯】。

同じですよ。

歯を触っていたら、

至極幸福な心で満たされます。

そんな私を歯科医が不思議に思う位ですから、

患者さんも、

それで不思議がって来て下さるのでしょう。

ビジネス、金儲けで歯科医の資格を活用されて居られる人と、

私の歯科は全く意味合いが違います。

そこがターニングポイントなんでしょうね。