日別アーカイブ: 2017年3月2日

運命って

私の大学院生の頃、

今では技工科長を務める関口技工師も未だペイペイの時代です。

技工室が好きで、

しょっちゅう関口君の仕事を覗き込んでいました。

そんな中、

関口君がおもむろに口にした台詞に運命を感じるのです。

東京にね、先生、

内藤先生って凄い人が居てルンですよ!

その頃はホォ~!としか。

私は私で、

補綴臨床と云う隔月号での雑誌に掲載された

レイモンド.キム先生の症例に、

仰け反って!

ぶっ飛んで!

ショックを受けていたのです。

その後、

そのレイモンド.キム先生から、

当の内藤先生へと行き着いて、

親父、小せがれの関係のようになってしまいました。

運命って面白いですね!

この日曜日は奈良市にて、

私は内藤先生の鞄持ちです。

昔のことは

西洋化した昨今ですが、

私の幼い頃は未だ戦後の匂いが残っていた様に思います。

アイスクリームなどは夏だけの特別な味でしたし、

バナナは高級品でしたもの。

風呂に入るのも、

木箱を斧で叩き壊して薪として、

五右衛門風呂を焚いていました。

院長室の机に向かって休憩をとる際に、

昔の事をしばしば思い出す様になりました。

笑って下さい。

西洋料理らしい西洋料理を初めて食した時の事を

今でも鮮明に覚えています。

小学2年の夏の事です。

今の東京プリンスホテルの2階のフレンチレストランです。

うら若き女性が大きな大きなハープを抱くように

演奏していた姿が強烈でした。

もっと強烈に印象的だったのが、

銀の蓋の中から姿を表した

大きな大きなスモークサーモンの塊です。

給事の男性が手にした変形のナイフで、

薄す~く、薄すーく、

スライスされるスモークサーモンの、

なんと美しいことか!

今でも私はスモークサーモンを高級品の代名詞のように

思ってい、

息子から笑われているのですよ。

私の墓地にスモークサーモンをお供えしてくれるのだそうな。

後免こうむると返事しています。

蝿に集られて嫌ですから。

テーブルに並んでフォークとナイフに、

背筋を伸ばしたことも覚えています。

スープの美味しかったこと。

フォークで口に運んだ肉片も、

茹で上がった温野菜も、

デザートと紅茶の味も、

その後、口にしたどの料理よりも

美味しかったと思います。

子供の頃の経験ほど

【かけがえのないモノ】だと思っています。

ですから、

子供たちには無理してでも、

いろんな経験させて遣りたいと思ってきました。

親の想いが、

その様に伝わっているのかは判りませんが、

私は、それでは良いと思っています。

残り人生、

どんな感動させて貰えるモノか?

そんな凄いことって在るんでしょうか?

簡単に考えれば判ること

先ほどブログにアップした症例での

歯茎の移植手術に関する問い合わせが多く在りましたので、

ご説明しておきましょう。

もともと延長ブリッジにて治療されて居られた症例ですから、

私の最初の手当ても、

延長ブリッジから始めたのです。

最初の一手は、

前医の処置と大きく変えない主義です。

何故なら、

その方が患者さんに【違い】が一目瞭然だからです。

延長ブリッジなど本来はすべきではありません。

但し、

第1小臼歯の歯頚部分を熟視して下さい。

歯茎が下がって、

露出した根面が茶色くなっているのがお分かりになるでしょう?

歯科医師の介入なくしても、

歯茎が下がっているのですよ!

ここにクラウンなどを装着するのは、

歯茎にとっては大きな迷惑でしかありません。

そこで歯茎の武装強化が必要です。

付着歯肉幅が狭小と、

専門的には、その様に診断します。

そこで遊離歯肉移植手術の出番となるのです。

歯茎の武装が完了してから、

第1小臼歯もクラウンを装着して、

後方の延長ブリッジと連結します。

これでシンプルな治療デザインとなりました。

この欠損部分にインプラントは禁忌です。

何故なら、

インプラントの直径も小さいモノしか使えませんし、

隣在歯との近接にて、

インプラント周囲の骨が早晩に吸収するでしょうから。

 

あるブリッジ症例から

まったく噛めません!

ソレが、患者さんの来院の動機でした。

下の奥歯に延長ブリッジが装着されて居られました。

第1大臼歯にセラミックのクラウンが、

第2小臼歯部分は欠損しています。

その部分はポンティックと云う【見かけだけのセラミッククラウン】を造り、

後ろ隣の第1大臼歯のクラウンにくっ付けていると云う代物です。

この第1大臼歯には大きな過剰な力が掛かり、

レントゲン所見では歯が浮いた状態になっています。

素人考えでも判りそうなモノですが。

確かにこの患者さんの第2小臼歯の幅が狭小です。

考えてもしないで造るから、

この様な小さな【オマケ】のような歯が出来たのでしょう。

今日、仮歯を入れました。

噛めません!と云う患者さんの悩みは一掃されました。

噛み合わせの形が不具合でしたので、

コレは簡単に手当て出来ました。

オマケのような歯も自然な大きさに観える仕掛けも

うまくいった様です。

これならキチンとした通常のブリッジが造れます。

力学的に安定します。

それが長持ちの根本ですから。

歯科治療の基本は、

工夫する、

考える、

問題提議する、

根気よく、

丁寧に、

ただ其れだけですよ。

序でに、

歯茎の移植手術を施し、

 

ブリッジの前準備は完了です。

3ヶ月あとに歯型採りです。

それまでは、ひたすらジッと待つのみです。

完成したセラミックブリッジは、

自然な噛み心地で、

自然な見映えで、

磨き易く、

長持ちするでしょう。

 

若き歯科医へのアドバイス

私のホームページとリンクしている

東京吉祥寺開業の小出医師がブログを始めたとの事。

で、

早速に覗いてみたのです。

が、

ツマラナイ!

小出医師は本当は面白い人なのです。

彼は【コダワリ】の人です。

真面目な顔で私に話しかけるのです。

学生時代、彼はお母上の炊いた米しか食えなかったそうな。

じゃあ、小出君。

ガールフレンドの作った弁当は?

と、不思議顔で聞く私。

其れはですね、

米だけ残すんです。

と、大真面目に答える小出君。

じゃあ、メシ屋の米は?

突っ込む私。

其れはですね、

メシ屋はキチンと調理師免許を持っているからシッカリ食えます!

大笑いシチャイました。

小出医師は何から何まで、

この様な類いの話しで笑わせてくれます。

治療へもコダワリも面白いですよ。

観てて、

あぁ、ここの患者さんは幸せだな!

と、

感じさせてくれる温かみが在りますモノ。

小出君!

普段のあなたを【そのまま】に、

ブログに認めれば良いのですよ!

キッと、あなたのファンが増えますほどに。

 

月夜の晩に

今年の1年生への講義は何時?

大学の教官から、

しばしば聞かれます。

私の漫談を楽しみにして下さって居られるとの事。

アリガタイ!

と、感謝しています。

そんな中、保存学講座の新海教授からも。

で、

4月17日ですと返したら、

じゃあ、前日は日曜日。

温泉にでも行きましょう!

これに医局の研修生にて開業医の傍ら一生懸命勉強している

吉祥寺開業の小出医師も便乗。

さてさて、

最終的に何人に成ります事やら。

当日、

春の月夜の温泉街に、

浴衣姿の私らの高らかな笑いが響く事でしょう。