日別アーカイブ: 2017年3月9日

矛盾

あと20年も経たない内に、

歯科治療は悲惨な状況になろうかと思います。

テクノロジーの進化?によって、

人の手から離れた人工歯が

普通に患者さんの口に入る時代になるでしょう。

それは便利じゃないかと、

お感じになられるかもしれません。

が、

歯科医学の特殊性から、

メーカーの目論見通りいくほど

咀嚼器官は単純な構造ではありません。

しかしながら、

資本主義の倫理観にて、

私ら医療人の正義は敗北するでしょう。

カメラで撮影した歯の画像とCT画像をリンクし、

一見、入れ歯擬き、クラウン擬きの人工物は出来るでしょうが。

私らが100年以上費やして、

築き上げた職人芸に勝る製品が出来る筈がありません。

しかし、

悲しい哉!

職人芸はテクノロジーの前に平伏す羽目になるに違いありません。

その頃、私は隠居するか、死んでるか、

良かったと、

思います。

人が機械に負ける姿を観たくありませんから。

小売り店が次々とシャッターを下ろし、

ネット通販で、

何から何まで揃えると云うのが

普通になったのだそうです。

私には考えられない時代です。

24時間営業のコンビニの存在が当たり前になったように、

これからの普通が、

私には予想出来ません。

便利さと、

良いこととが、

一致する処と、

どうしても無理が生じる処と出てくるでしょう。

そんな難しい矛盾に満ちた問題解決能力は

私には備わっていないとだけ申し上げましょう。

 

インプラント専門の強味

何処の歯科医院でも扱うように一般的になった

【インプラント治療】ですが、

私らのような専門の医院との違いが、

一般の方には判りにくいと思います。

一言では言えませんが、

やはり長い間、

それなりの修羅場を生きてきた経験的勘とでも言いましょうか?

同じ手順での治療ステップを踏んだ治療を行う事はありません。

コレは下顎に1本も歯のない患者さんの模型です。

インプラントが4本入っています。

このインプラントを支えとして、

物干し竿のようなバーを渡して、

上の総入れ歯をクリップで固定する設計です。

この際の技工手順の一端です。

連結する金属の熱による収縮と、

石膏模型が固まる時の収縮を

補正するための、

洋服作りに例えるならば【仮縫い】作業みたいなモノです。

技工師の造った技工物と、

実際の骨の寸法がピタリ!と、

ミクロンの狂いもない精度でと。

マニアックな話しですが、

この辺りが、私らの強みです。

流行りより、確かな治療方法

文献を頂きました。

審美歯科の治療方法についてです。

イタリアの歯科医師の仕事でした。

この文献を根拠としての【モノ真似】治療が

拡がることでしょう。

私ですか?

採用しません。

何故って?

セラミッククラウンを装着直前の歯茎には

炎症が在ります。

視る観点が、

この歯科医師とは違うのだと思います。

また私の専門は歯科保存学です。

歯科保存学の基礎的分野の1つに歯科理工学が在ります。

歯科理工学を学んだ者であれば、

この方法にて造られたクラウンの予後は容易に判断できます。

私は、【誰がこう言った】より、

【私の治療から得た結論】を重視します。

無論、

新しい治療方法の取り込みは生涯、続くでしょう。

が、

目新しい不確かな治療に、飛び付くほどお人好しではありません。