日別アーカイブ: 2017年10月31日

師と弟子

内藤先生からお電話を頂戴した序でに、

いつものように又、

師にお願いしたのです。

師から届いた先生の診療着の一部を、

早速、

私なりにアレンジしてオーダーしたのですが、

師の診療着は、

謂わば医師たる者の姿そのものです。

特に師の診療着を眠らせておく訳にはいきません。

で、

私の診察室の、

私、

そして患者さんから、

一番観えるアングルが、

この写真です。

正面の壁に掲げられた額縁の中の写真は師の姿です。

カウンターの上の飾りは、

【月の石】です。

本物ですよ!

夜、

夜空に輝く月と星を仰ぐじゃないですか?

遠い宇宙を感じます。

あぁ、私も月や星のような師のようになりたいと、

若い時分から今日まで、

ジャンプしています。

先生の診療着は、

その真横に設置させて頂きました。

私は診療の度に、

目線を上げると、

この光景が視線に入ります。

で、

いつも師に監視されているような気になるのです。

この判断が正しいのか?

次に手当てに進む状況に歯肉は準備できているのか?

手当てのステップ、ステップ毎に、

私は視線をもたげます。

そのようになか、

師のお写真は、

丁度、先生が今の私の年代の頃に頂いたモノです。

先生は73歳ですので、

恐る恐る先生に申し上げたのです。

先生、写真を下さい。

今のを。

いささか現在とはチョト。

師が曰く。

そりゃそうだ。頭も随分と薄くなったしな!

 

 

若い方の患者さんの多いことに

最近、

若い方、

具体的には30代の、

以前の私の診療所へお越しになられる患者さんは

まぁ50代から60代の方々が中心でした。

ですから、

今、

海外にて暮らす一番上の娘も

既に30を前にしていますので、

謂わば、

娘のような年頃の患者さんが増えたことに

私は戸惑っているのです。

悲しいんです。

だって、

その年齢でインプラントを望んで、

私の診療所へお越しになられるのですから。

その年齢で、

歯を抜かれた!

歯を失った!

歯を抜くと言われた!

そういうことに悲しいんです。

若い方ですから、

綺麗になりたい!

そういう想いが強いのは当たり前です。

それはよく判ります。

審美歯科治療を受けたいと思う気持ちを

私は否定しません。

が、

若い方ですから、

相手を選ぶ眼はどうなんでしょう?

キャンペーンを打つ医療機関に

医師たる者の心の誓いである【ヒポクラテスの誓い】、

医師たる者の責務が在るとは思いません。

治療のご費用に対するご心配も

私にも理解できます。

ただ、

安物買いの銭失いと云うことわざが在りますが、

歯を失い、

結局は費用も高くつく。

そんな馬鹿なことだけは経験して欲しくはありません。

上目だけの観てくれだけ、

上手いコマーシャルトークで、

患者さんをお客さんとしか考えていない医療倫理の欠如。

直ぐに、

簡単に、

精密治療が、

長持ちする治療が、

出来る筈などありません。

私ら医療人はタレントやセレブではありません。

歯の専門家。

人の大切な身体を与る身です。

派手さなど不要なのです。

私は娘の歯は

絶対に抜くような手当てはしません。

ですから、

若い方の歯を守りたいんです。

ただし、

既に歯が無い方も多いですから、

それはそれは、

知恵を搾ります。

設計に全精力を注ぎます。

長持ちさせねばなりませんから。

これから人生を過ごす上で、

色々あるでしょう。

そういう時に、

歯を喰い縛って、

乗り越えて貰いたいですから。

残っている歯については、

徹底的に、

歯が残るように技の限りを尽くします。

それが【歯の番人】としての使命ですから。

が、

つくづく感じるんです。

もっと速くに

私に診せて貰いたかったと。

生意気ですみません。

他所の歯科医師との腕比べなどには、

全く興味なんかありませんので。

序でに、

今日は先に話題に出した一番上の娘の誕生日です。

大学院の博士論文の仕上げ直前に、

新潟市にて、

この世に生を受けました。

遥か彼方で暮らしています。

毎日、

娘の顔が脳裏に浮かびます。

産婦人科から帰宅する道のりを

5キロ程でしょうか?

満天の星を仰いで歩いていたことを

娘の誕生日の誕生日の度に思い出すのです。

何にもしてやれません。

幸せでいて欲しいと祈るだけしかできません。

それが父親ってモノです。

だからこそ、

若い方の治療においては、

その方々の親御さんの想いを重ねて、

私は一層の馬力が出るんです。