日別アーカイブ: 2018年7月4日

総合診療の第1歩

やっと、

今年1番の難症例に取りかかりました。

診るも無惨な修復治療によって、

歯も、

歯茎も、

歯槽骨も、

噛み合わせも、

観た目にも、

ボロボロな状況に陥っていました。

初診は2月27日。

県外からの52歳の女性です。

歯科医師の手によって、

大きく崩壊した口腔の治療は、

安易に行うことはできません。

何故?

このような状況に至ったのかという

転帰となった原因を究明することが、

治療を行う上で、

1番大切な、

最初の乗り越えなければならない関所です。

と、

並行しながら、

患者さんに

歯磨きの本式の方法を

シッカリ体得して頂くために、

通って頂くことに。

その期間を利用しながら、

私は思案し、

患者さんの口腔診査の繰り返し。

で、

謎解きができたのです。

今日の治療と相成った訳です。

 

観て下さい。

精密とはほど遠いクラウンと歯の隙間。

腫れた歯茎を、

見事!

患者さんは頑張って、

歯磨きだけで、

ココまで炎症を抑制したのです。

ここからは、

プロの出番です。

一気呵成に、

崩壊の原因である修復物を撤去します。

この歯周病は、

歯科医師の作品です。

この虫歯の進行も、

歯科医師の作品です。

概略の修正を加えて、

仮歯を装着しました。

約10日後に、

歯周外科処置を行います。

その後の、

歯肉が熟成する3カ月程度の間に、

根管治療を行います。

歯周外科の後ですから、

ラバーダム防湿環境下での治療が可能です。

今日の治療は、

朝の10時スタートで、

終わったら、

夕方の5時前でした。

これが三枝デンタルオフィスの流儀です。

 

笑って下さい

不安感や哀しい気持ちで、

押し潰されそうになった時、

眠ることしか術を知らなかった時がありました。

でも、

眠りは、

必ず眼が覚めるもの。

酒を煽って、

酔いに任せて眠ってみても、

眠りは、

必ず眼が覚めるもの。

そんな長い期間を過ごした後に、

眼が覚めた際に、

ある時、

ふと、

気づいたのです。

悩んでも無駄だと。

哀しんでも、

それは未来永劫には続かないのだと。

ただし、

有頂天になるような至上の幸福に満たされた時間も、

そう長くは続かない。

ソレからは、

ズッと前を向いて歩くようになりました。

10年は先の自分の姿を

より良いモノとして、

イメージを膨らませて、

グイグイと、

前へ進むようになりました。

すると、

人と人との関わり合いの

大切さが、

肌で感じるようになりました。

私の診療所へお越しの患者さん。

私の母校の付属病院へお越しの患者さん。

そして、

母校の上司、同僚、後進たち、

そして、

青春期を母校で学ぶ学生諸君。

ちっぽけな歯科医でしかない私ですから、

私の関わり合いのある世界も、

このように、

ちっちゃな世界でしかありません。

正直、

これで良かったのだと、

胸を撫で下ろしています。

これ以上の大勢の人たちと

関わるキャパシティは、

私にはありません。

私は決して名医ではありません。

でも、

歯との【え・に・し】を

大切に大切に、

雛のかえる直前の卵を

掌の中で包みこむように、

歯科医学を、

私の身体の中で温めて、

大切に触れてきたことだけは、

私の家族、別れた家族ともに

否定されることはないと確信しています。

私は人として生きる。

私は歯科医師として生きる。

関わり合いをもつ方々の幸せを願い、

祈りを捧げながら、

前へ進む。

55歳になって、

ヤット重い腰をあげることにしたのです。

今まで浪費した無駄なエネルギー、

今までの経験から蓄えたエネルギー、

これから思案することで生まれるエネルギー、

それを糧として、

歯の番人としてだけ、

進んで行く姿を

笑って下さい。