日別アーカイブ: 2019年5月3日

平成最後で令和最初の根管治療

平成も押し迫ったころ、

激しい痛みが止まりませんと云う

さし迫ったお電話を頂きました。

痛みにもかかわらず、

電話越に、

私からの問いに対して、

要点を押さえた聡明な受け答えから、

修復治療後に歯髄が壊疽したことが容易に考えられました。

治療が急がれます。

私の診療所が自費治療専門である旨をご説明申し上げますと、

既に患者さんはご存知の事だと。

ひと月以上為す術なく、

ただ様子診ましょうと云う歯科医師に

見切りを付けた瞬間が、

この患者さんにも在ったのだと思います。

私の診療所の患者さんは、

皆さんが・そういう方です。

視診と問診、聴診、触診を

何よりも私は大切にしています。

で、

暗室での手現像によるフィルムによるレントゲン写真を

私は大切にしています。

いきなりCTなどと云う暴挙は謹んでいます。

歯は誠にデリケートな器官です。

白桃を掌で包み込むような・気遣いが、

診断と治療成功の大きな鍵であると確信しています。

痛みの原因歯と共に後方の大臼歯にも

打診痛と動揺が認められます。

こういうシチュエーションが・前医を惑わせたのでしょう。

原因歯の後方の大臼歯の治療痕も、

レントゲン写真から不良であることが判明できますが、

今回の痛みは、

歯髄壊疽から根尖部歯槽骨への感染の拡大です。

間違いなく第1大臼歯に施したコンポジット・レジン修復歯です。

患者さんに対しては、

既に歯が死んで腐っていることをお伝えし、

直ちに修復治療を除去し、

腐った歯髄を除去する必要性をお伝えし、

治療の準備に取りかかったのです。

先生、麻酔注射しないのですか?

無麻酔での注射を察知し、

恐れ・おののく患者さん。

既に死んでいる歯であるため麻酔の必要性はないこと。

私の手にする器具は、あくまでも歯の中だけで留まるために、

痛みを感じる歯根の先端から外の組織には触れないから、

痛みは生じないこと。

で、

死んでいる歯だと、あなたも納得できますよ!

と念を押して、

ラバーダム防湿。

ここから三枝の根管治療が始まりました。

そういえば、

平成最後の治療でも・ありました。

治療ですか?

痛みはなかったようですよ。

昨日、

令和の仕事初め。

この方にお越し頂きました。

先生、痛みありません!

そういう時ですか?

私は肯くだけです。

令和最初の根管治療をスタートします。

ラバーダム防湿。

根管の中を、

全身全霊で感じるように

私は歯に成りきるのです。

で、

根管充填。

第1大臼歯のレントゲン写真が私の根管充填です。

根尖部分の歯槽骨に炎症が見えるでしょう?

原因ですか?

虫歯治療の際に、

虫歯が残ってタンです。

その上からコンポジット・レジン修復。

そりゃ・歯髄は死ぬでしょう。

虫歯検知液使って、

虫歯の取り残しが無いかどうか、

ベテランの私でも、

今でも欠かさず行っている手順です。

色んな根管充填の術式があります。

私の根管充填は、

日本歯科大学独特の手順です。

私は日本歯科大学式の治療方法は、

長年に渡って、

ぶれずに、

反れずに、

浮気せずに、

頑なに守ってきました。

日本歯科大学式を基礎として、

今の三枝式の治療方法があります。

日本歯科大学臨床教授としてハッキリと明言します。

このレントゲン写真が日本歯科大学の根管充填です。

隣の第2大臼歯の治療。

悲しいかな、

日本歯科大学の卒業生のモノです。

教官たちは懸命に指導してるんですが。