海軍兵学校の五省


私が歯科の道に入ってから現在に至る時間の長さほど、あとの残された時間はありません。

歯の世界は奥が深く、到底そのような短い時間では追求しきれるものではありません。

ただただ、良い仕事につけた幸運に感謝して、患者さんに対応して過ごしています。

人の身体を診る仕事につく人間は、ある種のガマン心を持たなければなりません。

その様な心持ちを、自己で育てるために、様々な工夫や努力が必要となります。

母校である日本歯科大学の学生達への講義のなかで、今年は次のような話を織り混ぜようと思っています。

歴史上の偉人の遺した言葉などに、感動すること度々な記憶は誰しも経験がある事だと思います。

旧帝国海軍時代の士官教育を司った海軍兵学校において用いられた訓戒を、ある時から私は
手帳に書き写して、事ある毎に読み返しています。
また、額縁に記されたその訓戒を書斎の机の脇に掛けて、事ある毎に眺めて、心の中で諳じています。

【五省】

一、至誠に悖るなかりしか
     
   真心に反する点はなかったか

一、言行に恥ずるなかりしか

   言行不一致な点はなかったか

一、気力に欠くるなかりしか

   精神力は十分であったか

一、努力に恨みなかりしか

   十分に努力したか

一、不精に亘るなかりしか

   最後まで十分に取り組んだか