素直なる歯肉


思うように往かないのが人生ですが、歯と歯肉だけは私の思うがままと実感しています。

何かしらの原因があって、ひとたび、患者さんの歯に対して私たち歯科医師の手が介入するならば、

余程の裏づけがある治療方法なり、手指の動きがなければなりません。

機能面は勿論のこと、自然な美しさ、清潔さを保てる事が必須の条件となります。

いったん削られた歯は、自然には元の形には戻りません。

ですから、歯を削る必要性があり、歯を削ったならば、

携わる歯科医の側には、覚悟が必要だと学生さんたちに言い聞かせています。

人の判断と技術には、先ずは誤りや間違い、見落としがあると思っています。

ですから、治療の過程の全ての段階に於いて私は、

常にマッサラの心と目で、自分のなしたる治療を再評価するように心がけています。

ですから、毎日、毎回が再評価の連続です。

再評価の結果、う~ん?と、感じた時は、即座に患者さんに伝えています。

根の治療などは、最後に歯の中に防腐剤みたいなモノを入れるのですが、

確認のためのレントゲンにて、イマイチ、完璧!と思えない時は即座に

ー ゴメン!ゴメン!直ぐにやり直し! ー

患者さんにラバーダム防湿をして、根菅充填をし直します。

まったく恥ずかしいとは思いません。

上手く出来ていないという判断が出来ないことが恥じであり、

上手く出来ていないことが判っていて黙っているのは犯罪であると思っています。

で、レントゲンの確認で、完璧!と判断して患者さんの治療を終わりにします。

まぁ、性格でしょう!

手当てをキチンとすれば、歯や歯肉は言うこと聴いてくれるモノです。

 

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写真の症例は、前歯に詰め物だらけで、それもキチンと出来ていないから、

詰め物の間から虫歯が拡がったりで、

女性心には随分と気にやんでお越しになられました。

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で、1回目の仮の歯を入れて、当のご本人は喜んでくれたのですが、

私としては専門家ですから判るんです!先々に起こることが!

で、歯茎の手術をお願いして、させて頂いて、

そんでもって2回目の仮の歯を入れました。

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随分とスマートになったでしょう‥‥!

但し、歯と歯の間の歯茎の隙間が大きいでしょう?

でもね!観てて下さい!

ホラッ!

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最終歯を入れたら、段々と歯茎が育って!

綺麗に隙間がなくなりました!

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(セラミッククラウンセット後 5年経過)

この隙間を人工歯で埋めようと無理をすれば、人工歯はイビツな形になって、

後から歯茎が黒ずんできたり、

腫れぼったくなったり、

妙に臭くなったり‥。

歯や歯肉を自由自在に操るのが、この仕事の面白さなんです!