筋金入り


私は若い時分には、随分とヤンチャであったとキチンと自覚しています。

加えて、放蕩息子、馬鹿息子の代表格であったとの自覚も出来ています。

ですから、他人の事をトヤカク言える立場にはありません。

ただ、世の中には無駄なことは1つもないという風に、この頃になって感じるのです。

もう随分と昔の話しになりますが、GUCCIの創業者が身内に殺害されたとのビッグニュースが

テレビや新聞等で報道されて、世間を騒がせたことがありましたが、

中学生の頃に、ローマの本店にて、この紳士が天井まである程の陳列棚に梯子をかけて

選んでくれた鞄を随分と長く使っていましたように、

まだスーパーブランドになっていない洒落た店程度であったこの店の商品を

ガキたる私が知っている程に、恵まれた環境?で育つことが出来ました。

今ではバチが当たったのでしょうか?

UNIQLO専門みたいな私ですが、当時からパリのランバンにてニット等を購入しておりました。

大学に入学してからは、誰からも監視されることもない更に恵まれた環境とグレードアップしたことで、

ダイナースカードがあるから心配無用という大きな気持ちで放蕩に耽り、

車を乗り回しての阿呆程度も頂点にあった当時を思い出すと複雑な気持ちになるのです。

ただ、日本の伝統的文化が身近に感じられる特異な環境でもありましたので、

スナックやキャバクラ、クラブなんぞは、好みではなく、

また、常にタシナミという変なコダワリも持っていましたので、

麻雀、パチンコ等のギャンブルを好む男を、内心では軽蔑していました。

こんな私でしたので、今なら退学?或いは、間違いなく留年していたと確信しています。

私が他人と違っていたのは、そんな阿呆な暮らしをしていながら、

虫の良いことに、良い歯医者になりたいという強い意志は、常に頭のど真ん中にありました。

私の診療所のスタイルは、同業からは誰も真似が出来ないと言われているそうです。

そりゃ、そうでしょう。

こんな私が、自分の全ての興味の方向を、自分の全てのエネルギーを、

放蕩三昧から得た貴重な体験、経験を背景いに、歯に挑み四半世紀過ごして来たんですから。

私は歯科医という仕事というよりも、

歯が好きで好きで堪りません。

このような台詞を臆面なく口に出来るのも、私が阿呆に他ならないからだと思います。

自分の好き放題、生きてきて、

今、私が強く決意しますのは、

歯を通じて社会貢献したいと言うことです。

私が自前の研究室に籠るのも、

患者さんが、ある意味私に対して緊張感を持って接して下さるのも、

私が、独自の治療方法の完成へ向けての詰めの時期にあるからです。

昨今の歯科医を観て、医者か美容師か判らない、商売人かの境目も判らない程の体たらくに

腹がたって堪らん想いを抱いているからです。

氏より育ちと申します。

良いモノを知らない輩に、良い仕事ができる筈はないという私の確信は

恐らく間違っていないと思います。

患者さんの大切な大切な身体の一部の治療です。

生半可な気持ちでは、絶対に触れてはならんのです。